なぜ不動産投資を始めるのか。収益を上げたいのか、将来の資産形成を目指しているのか、税金対策での投資なのか等、目的によって投資先や戦略が異なります。
目的により投資する物件が変わりますので明確にする必要があります。
ですので、不動産投資を始めるには、まず目的を明確にすることが大切です。
ここでの目的とは「相続税の軽減のため」、「所得税の軽減のため」、「事業承継の対策として」、「資産の組み換えのため」、「収益を上げる」、「資産形成のため」等があります。
今回は所得税の軽減についてです。
所得税の軽減のための対象者は、テナントやビルなど所得対象の収入が高い地主様、事業の経営者、オーナー社長などが所得税対策の必要な方になります。
それ以外の方も当てはまる場合、使える考え方なのでそれ以外の方も是非読んでいって下さい。
所得税減税の為
不動産を活用した所得税対策の方法は大きく2つあります。
1つ目は「不動産経営をすることによる確定申告をする際に、あらゆるものを経費として扱い、自身の給与の課税所得から還付を受ける方法」、
2つ目は「不動産の減価償却を利用し、課税所得を減額し所得税を軽減する方法」です。
①不動産経営をすることによる確定申告をする際にあらゆるものを経費として扱い、自身の給与の課税所得から還付を受ける方法
不動産経営をすると個人事業主となり、確定申告が必要になりますので様々な経費を計上することができます。
その経費を課税所得から引くことができるのでその分課税所得が軽減され、還付できるようになります。
例えば、不動産の現場を見にいった時の経費(使用したガソリン代、不動産業者・管理会社との食事代)などが経費計上として使用できます。
実際には、不動産経営で利用した経費が計上できるわけなので、旅費などを計上する方がいますが、税務署から目を付けられることがあるので申告は正しくすることをおススメします。
②不動産の減価償却を利用し、課税所得を減額し所得税を軽減する方法
購入した不動産(建物)は減価償却*1を利用し課税所得を抑えることができます。
構造により減価償却の年数が変わり、構造により償却率が変わります。
償却率とは、購入価格に対して一年でどれくらい償却できるかの割合です。
構造による減価償却の年数は以下のように変わります。
木造 22年 軽量鉄骨造 19年(3mm以下) 27年(3mmより大きく4mm以下)
重量鉄骨造 34年(4mmより大きい) 鉄筋コンクリート造 47年
償却率は年数が短いほど高くなります。
例 木造の償却率 0.046 鉄筋コンクリート造の償却 0.022
1億円で計算すると 木造では460万/年 鉄筋コンクリート造では220万/年と経費計上できる金額が変わります。
差額が240万/年の課税所得が違いますから所得税もそれに基づき変わります。
240万/年の差額を所得税で考えると33%の税金で考えると79.2万円の所得税が違います。
この差は大きいのではないでしょうか?
利回りにとらわれずに税金を考えるのも一つのファクターと言えます。
また、建物は設備、外構と建築費を分けて申告することができます。
分けることで、償却年数が構造と同じように違うからです。
金額は小さくとも10年、15年の償却物は重宝します。
こうような細かいことではありますが積み重ねが必要にもなります。
しかし、償却率が高いということは早く償却が終わるので木造で言えば22年後の所得税が極端に増えるので注意が必要です。
そのため、償却が終わる前に手放すなどの戦略が必要になります。
ちなみに中古の場合は以下の通りです。
築年数が法定耐用年数を超えた場合の中古資産の耐用年数の計算方法
築年数が法定耐用年数を超えた場合の計算方法は以下の通りです。
耐用年数=法定耐用年数×0.2(端数切り捨て)
たとえば木造の飲食店の場合、前述の「建物の主な法定耐用年数」によると法定耐用年数が20年になりますが、これを上記計算式に当てはめると、20年×0.2=4となり「4年」が耐用年数となります。
築年数が耐用年数を超えていない場合の中古資産の耐用年数の計算方法
築年数が耐用年数を超えていない場合の計算方法は以下の通りです。
耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2(端数切り捨て)
今度は鉄筋コンクリート造で、築年数が20年の賃貸住宅を例にしてみましょう。
鉄筋コンクリート造の賃貸住宅の法定耐用年数は、前述の「建物の主な法定耐用年数」によると47年です。これを上記計算式に当てはめると、(47年-20年)+20年×0.2=31となり、「31年」が耐用年数になります。
所得対策が必要な方は、ある程度、課税所得がある方になります。
自分がどの程度のフェーズにいるかにより規模が変わるので戦略的に考えることが必要になります。
*1固定資産のなかには、時間の経過とともに価値が薄れていくものがあります。減価償却は、社用車やオフィスのパソコンなど、長期にわたって使用する固定資産を購入した費用を、時間の経過に合わせて費用として計上していく会計処理です。
つまり、減価償却の対象となる資産については、取得した段階で全額を経費計上するのではなく、資産を使用できる期間で分割しながら計上することになります。これにより利益が減りますので、その分税額を抑えることができるのです。